障がい※1を持つ方は、ご家族と暮らしている方が多いかもしれません。。
しかし、ご家族(親)の高齢化、あるいは、死別等により親世帯の中で支援を受ける困難さ、あるいは、ご自身の高齢化や経済的状況による将来に渡る住環境の確保の困難さに直面するケースも多いと思います。
住環境の確保については、例えば、アパートやワンルームマンションを賃借して、一人暮らしをすることが考えられます。しかし、この場合、寝る場所の確保だけでなく、食事、買い物、支払い、行政手続き、清潔と健康の維持、などなど、自分のことはすべて自分で面倒を見る必要があります。
いままでの生活環境から、突然の一人暮らしは、障がいの有無にかかわらず、誰にとってもハードルが高いと思います。
そして、このハードルの高さを下げる選択肢の一つとして、福祉サービスとしての障がい者グループホームの利用が考えられます。
多くの場合、障がい福祉サービスだけではなく、年金や生活保護といった経済的な公的扶助も併せて利用することでしょう。
障がい者グループホームへの入居を選択肢に考えられている方にとって、ホームで提供されるサービス(支援)内容については、その違いにより、ホームでの生活も異なってくるので気になる所だと思います。
ホームで提供されるサービスは、利用者様が、障がいゆえに不可能、もしくは困難な事を支援し、逆に、できる事はご自身ですることにより、地域社会で自立的に生活することを可能とすることを目的としています。
では、実際に、どのようなサービスが提供されるのでしょうか。
前提として、サービス提供形態の違いにより、障がい者グループホームには、以下の4つのタイプがあります。
・介護サービス包括型
・外部サービス利用型
・日中活動サービス支援型
・サテライト型
このうち、「介護サービス包括型」は最もポピュラーです。例えば、令和3年度において、神奈川県内には、グループホームは756か所ありますが、介護サービス包括型は、731か所で全体の97%、利用者数についても、神奈川県全体で10,334人の利用者に対し、介護サービス包括型の利用者は10,028人で、全体の97%を占めています。
介護サービス包括型は、食事や入浴、排せつの介助などの生活支援をグループホームの職員が提供するもので、障がい支援区分が4~6の障がいが比較的重い人が利用することを想定しています。
そして、障がい支援区分が1~3(障がいが比較的軽いとされる)の人は、外部サービス利用型※2の利用が想定されていますが、県内の外部サービス利用型は、3か所にどどまるため、この区分の方も、介護サービス包括型グループホームを利用しているのが実態と思います。
ただし、同じ「介護サービス包括型」グループホームでも、住居の形態(ワンルームか、シェアハウスか)や運営母体の方針、により、提供するサービスは多少異なると思います。
例えば、「みうらんど」は、介護サービス包括型で、戸建住宅を利用したシェアハウス型のグループホームですが、こちらで
通常提供しているサービスの主なものとしては、以下のようになります。
・食事の提供:
毎日の朝食と夕食を提供しています。昼食は提供していません。これは、利用者様が平日の日中は、通常、就労先やデイケアに行かれていて、そこで昼食を摂られることを前提としているためです。
土日祝祭日など通所先が休みだったり、体調不良で欠勤したり、病気療養のため、日中もホームで過ごすことがありますが、このような場合は、生活支援員が昼食の用意や、体調のモニタリングなどの対応を行います。
・共用部の清掃:
共用部とは、リビングのほか、バス・トイレ、廊下、階段などを指します。利用者様の居室には、原則は立ち入らないので、清掃の対象外となります(利用者様がご自分で清掃する)。
・服薬確認:
多くの利用者様が、お薬カレンダーに一週間分の薬をセットして、ご自分で管理されています。スタッフは、服薬を実施したかどうかを、声掛けと目視で確認します。
・金銭管理支援:
ご自分が所有する金銭の収支管理は、ご自分で行うのが原則となりますが、ご自身で行うのが困難な方については、ホーム職員が支援します。例えば、一か月の収入金額をもとに、収支計画を立てたり、金銭出納帳の作成を手伝ったりします。
・日常生活における相談:
利用者様の日々の困りごと、不安な事、やりたいこと、など様々なお話しを聞き、適切に支援していきます。
このほか、就労先やご家族との連絡・調整、休日の余暇活動の支援、私物の購買支援といった支援をおこなっています。
一方、以下のような身の回りのことについては、利用者様がご自身で出来る場合は、ご自身でやっていただいています。
・入浴の準備と後片付け
・洗濯
・自室の清掃
・昼食の手配
・身の回り品の調達(衣服、生活用品 など)
これらについては、実際には定期的かつ自発的に実施することが困難な方も多いので、職員が声掛けをしたり、場合によっては、実施の支援を行ったりすることもあります。
利用者様の障がいの種類やレベルなどにより、上記以外にも、その利用者様に合わせて、個別の追加支援メニューを組み立てることもあれば、ご自身でできることは、敢えて支援せず、ご自身でやっていただくこともあります。
また、最初は支援が必要な事柄でも、日々の繰り返しを通じてお独りで出来るようになり、支援が不要になることもあります。
時間はかかるかもしれませんが、最終的には、ほぼ全てにおいて支援がなくても生活できるようになることが理想であり、そうなれば、一人暮らしへステップアップすることも可能でしょう。
自立した生活を構築・維持するために、自分に必要なサービス(支援)は何なのかは、自分自身ではなかなか見えないかもしれません。
その場合は、ホームに入居する前によく相談し、個別支援計画として明確化し、ホーム入居後はサービス管理責任者が、具体的なサービスに落とし込むことが必要だと思います。
※1:ここでいう「障がい」とは、軽中程度の知的・精神・発達障がいに限定します。
※2:食事や入浴、排せつの介助などの生活支援をグループホームの職員だけではなく、外部のヘルパー事業所などのサービスを利用して行う。